フランスの学校給食を変えた法律エガリム法②
エガリム法 Lois Egalim(食品三部会法)
ここがポイント エガリム法
- 2018年に制定された10省庁が関与するフランスの食に関する法律
- エガリム法は動物福祉、健康的で質の高い食品を支持
- 認証のある環境配慮された食品を50%導入しなければいけない
- 価値があり、もっともインパクトがある学校給食に反映
フランスの学校給食を変えた法律エガリム法①
Lois Egalim 2018年10月制定
フランスは、イタリア、ドイツ、ベルギー、スペイン、スイス、ルクセンブルグのとなりの国、ドムトムと呼ばれるニューカレドニアやギアナ、レユニオンなどの海外領土があり、各地方ごとに豊かな食生活がある。
チーズやワインはその代表格でその地域の気候や文化、伝統、土の質など様々な要素が織りなされたテロワールがある。
先祖の作ってきたテロワールと伝統を大事にし、給食に取り入れて、フランス料理のモデルを守ることは、食のグローバル化によってもたらされる多様化の損失、植物性食品の減少が農業に影響を与えていること、それらを解決することで、健康で豊かな文化を取り戻し、環境に配慮していく。それがエガリム法のひとつの目的である。
食の多様性を求めて、F1ではない種を支持するセマンス・ペイザンヌ。給食へのメニュー作りにも力が入っている。
エガリム法では、50%を持続可能な材料、そのうち20%はオーガニックの材料にしなければいけない。
これから数回に分けてエガリム法を説明していきたいと思う
エガリム法に該当する共同食堂とは?
関連する食堂?
- 小中高の学校給食、大学の学食
- 6歳以下の子供に食べさせる食堂
- 病院
- 介護施設
- 刑務所
中でも学校給食は、大事とされている
次世代の食育から、未来の大人へなる層であること、子どもたちが変わると親世代、おじいちゃん世代にも影響がある。
2024年を目標に(例えば私立の学校など)すべての食堂が準しょすることになっている
5つの重要な手段とは?
段階的に適用して、5つの手段で
5つの手段で段階的に適用していくのが特徴
- 持続可能で高品質な食材を使ったメニュー
- 関連者の情報交換
- プロテイン源の多様化とベジタリアンメニュー
- 食料の廃棄対策
- プラスチックの廃止
持続可能で高品質な食材とは?
エガリム法では、認証された食材を導入する。
認められる持続可能な認証マークとは?
エガリム法では、おもに以下に示される認証を50%(そのうちオーガニックは20%を含む)
オーガニック認証(EU共通のオーガニックロゴ)
95%オーガニック素材で作られたもの、EUで生産、パッケージされたもの。化学物質、殺虫剤などを使わずに2年経過した農場で作られた作物。IFORMで認定
フランスのオーガニックロゴ
フランスでは97%の人が認識しているというオーガニックロゴ。100%オーガニックまたは95%オーガニック素材で作られたもの、遺伝子組み換えは禁止だが、95%オーガニック素材で作られたものの場合、含まれることが有る。EUで生産、パッケージされたもの。化学物質、殺虫剤などを使わずに2年経過した農場で作られた作物。I農業食糧庁が管理。ABロゴはオプションで、フランスのみのロゴ
フェアトレード
国際フェアトレードの基準の要件を満たすもの。貧困削減と持続可能な開発、公平性と透明性をめざす。
発展途上国の小規模生産者組織と農業労働者の持続可能な開発を支援するように設計。その基準には社会的、経済的、環境的基準を含む。トレーダーも基準の対象となり、企業や企業がサプライチェーンや事業の持続可能性に貢献するために行わなければならないコミットメントがある。
高環境価値のある農作物や加工品
虫、植物、花などの生物多様性の保全、植物検疫、水資源管理、施肥料において高環境の価値のあるものにつけられるロゴ。加工品の場合、95%以上の素材がHEV認証に準じたもの。
持続可能な漁業
野生捕獲漁業の持続可能性を測定し、環境への影響を最小限に抑え、適切な漁業を変化する環境状況によって適応。生産者の場合、認定サプライヤーから認定製品を購入する。追跡可能。海藻生産は、環境に最小限の影響を与えるもの。
保護原産地呼称(AOC,AOP)
生産のすべての段階のノウハウは同じ地域で認識され、地理的な特徴をもつもの。AOPはEUのサイン
地理的表示保護(IGPgéographique
protégée)
製品が地理的な特徴を持つもの。また、生産と加工の過程はていぎされたものであること
伝統的特産物呼称La spécialité traditionnelle garantie
伝統に基づいた構成、製造、加工方法。地理的には必ずしも結びつかない。特定の国や地域、地方の慣習に基づいている
ラベルルージュ
フランスの認証で、他の同様の製品と比較して高い品質基準を持っている
関連者の情報交換をすること
保護者、関係者へ報告義務
エガリム法では、年に1回の報告と、持続可能で高品質の食材情報を父兄に報告しなくてはいけない(2022年1月1日より)
ベジタリアンメニューの提供とタンパク質多様化計画
エガリム法は、環境とレジリエンス法と組み合わされて給食への反映がされている。
その中には、週に1回のベジタリアンメニューを提供することになっている。ハラルミートなどに対応していない学校給食でも、宗教や習慣に対応できるベジタリアンメニューという意味もある。
1970年の肉の消費量はひとりあたり77.6kg、2009年では87.8kgの消費。肉は環境負荷が大きい。
子どもたちにとって肉が必要なのでは?と思うかもしれないが、豆類や穀物、乳製品にはプロテインが含まれている。
食品廃棄
廃棄を減らして公平な世の中に
食品廃棄と分析をエガリム法では義務としている
食品廃棄が消費期限がきれた、いたんだなどの理由でキッチンの中で廃棄されるのか?生徒の食べ残し?欠席がでてしまい余ってしまったのか?食品廃棄の中には数種類に区分できる。
まだ消費できる食品を処分してはいけない、またそういった食材を寄付しなくてはいけないと分配して食べ物を分け合うことが盛り込まれている
プラスチックの廃止
便利さから抜け出せるか?
- プラスチックボトルの廃止
- 調理やリヒート用の容器廃止(2025年1月1日より)
- プラスチック容器やカトラリーの終了(2022年1月1日より)
- ストロー、持ち帰り用ドリンクの容器蓋
プラスチックは、衛生面、輸送、食品保存などの視点から優れている。
とてもハードルが高い給食でのプラスチック廃止だが、ガラス製のグラスや陶器のお皿は食を豊かにしていくものだと思う。
また、何より何世代にもかけて分解されず使い捨てされるプラスチックは廃止していかなければならない。
参考サイト
フェアトレード https://files.fairtrade.net/FAIRTRADE-Mark-Guidelines-full.pdf
持続可能な漁業https://www.msc.org/standards-and-certification/the-msc-standards
SIQO https://www.inao.gouv.fr/Les-signes-officiels-de-la-qualite-et-de-l-origine-SIQO
肉の消費https://www.zootechnie.fr/images/pdf/20110112_sans.pdf