オーガニック給食は高い?
オーガニック給食は高いのか?オーガニック素材を使うとなぜ高い?フランス南部コルビエールの公立中学校の学校給食
ここがポイント
- オーガニックが高いわけ
- フランスの公立中学校のある日のメニューとは?
- オーガニック給食は結局高いのか?
- 給食用の認証制度とは?
オーガニック給食は高くない。
でもオーガニック素材は確かに高い。
その調整は現場の人でできる。
フレッシュのものをフレッシュな状態で届けるのは、給食にとっても欠かせない。
公立中学校のある日のメニュー
乾燥した大地に、ぶどう畑が並んでいる。私が研修をさせてもらったのは、ちょうどヴァンダンジュと呼ばれるぶどうの収穫で、夜中までトラクターの音が聞こえる位、忙しい時期だった。
コルビエールというこの地域では、乾燥していて温度が高くなるため、ぶどうの糖度が高く、アルコール度数が高いワインができる。
キッチンで働く調理人の中には、ワイン畑を所有しているマリーがいて、おやつに持ってきてくれたぶどうは、甘い香りのする小粒のぶどうだった。
南フランス、コルビエールの公立中学校で、この週、夏の終りが近づく頃のメニューは週に一度のベジタリアンの日で、こんな風だった。
。
前菜;フレッシュなグリーンサラダと色とりどりの野菜を巻き込んだ生春巻き(もちろん皮もオーガニック)
主菜 ひよこ豆のトマト煮込み(ベジタリアン)またはレンズマメの煮込み ポレンタ添え
デザート フロマージュブラン(フレッシュチーズ)、フルーツサラダ、メロンのスープシャンティクリーム添え
さらにはカットフルーツ(好きなだけ取っていい)と地元のパン屋さんが毎朝届けてくれるパンがつく。
前菜のグリーンサラダはふんわりと盛られ、生春巻きは、おいしそうにグリーンサラダが添えられている。豆のグリーンソースが入っていて、栄養的にも配慮されている。
ぴかぴかの温度管理された厨房で作られた前菜は、レストランで食べるようなサラダのようにフレッシュでおいしかった。
メイン料理には、植物タンパク源を入れてバランスをとっている。
ポレンタが添えてある。
ポレンタとは、とうもろこしの粉に水やバター、調味料を加えて火を通したもので
子どもたちが食べやすいように四角く切ってオーブンで焼いてある。
オーガニックの材料は、なぜ高い?
メニューの脇に、ABと黃緑のマークがついている。
ABマークはフランスのオーガニック認証マークで、今はヨーロッパのリーフマークと基準が一緒だが、フランスの中では併記していることが多い。
Agriculture Biologique の頭文字で、緑の葉っぱマークがついている。
この公立の学校給食でABマークが90%位の割合でついている。
2013年にできた学校給食認証制度の中で3番めにオーガニック導入率が高い人参3本マークを保持している。
50%以上のオーガニック素材が含まれて、キッチンで使用している洗剤も環境配慮されているものでなければならない。オーガニック素材だけではなく、地産地消と持続可能な配慮も必要とされている。
給食に深く関与するエガリム法では、オーガニックを20%以上含むサスティナブルや伝統的な手法で作られた素材を50%入れなければいけないことになっている。
12%がオーガニック農地(2021年)のフランスでもまだハードルが高い。
特に肉や魚は高価で。2ユーロ(260円 2021年12月30日現在)程度でおさめなくてはいけない給食にはまだ手が届かない。
オーガニックとそうでない肉の価格差は1.2倍程度の差があり、
保護者が支払う給食代金に響いてしまう。
オーガニックと通常の肉、なぜそんなに価格に差があるのだろう?
飼育方法に両者の違いがあり、通常の豚は6ヶ月で約120キロになるが、オーガニックは1年以上ゆっくり飼育する。つまり、2倍生きているということは、餌や場所に関して、単純に2倍のコストがかかってしまう。
また、オーガニックでは動物の権利が求められているので、小屋と外を自由に行き来できることが条件になっている。つまり、さらに多くの土地=お金がかかるということ。
高いのは当然である。
オーガニック給食は高いのか?
手作りのオーガニック給食、気になるのは値段である。
オーガニック素材や高品質の素材は高くならないのだろうか?
給食での計算は、この学校ではシェフに委ねられている。
仕入れは、契約業者が数件いて、校長の許可を得て購入する。
今日使った材料をすべて記入、今日の給食の販売数で割り、廃棄を記入する。
こうして毎日の給食代の概算が出る。
2ユーロを目安に調整するが、この日は1.8ユーロほどだった。
シェフによると、注意をしているが、2ユーロをこえることはあまりないそうだ。
春だけは、予算を多少オーバーするけれど、他の季節は安定しているという。
春になぜ予算がオーバーするかというと、
アスパラガスやいちごなど高価な季節野菜が多いから。
その他にも、注意を払っているのは、
- ヨーグルトなどの個別パッケージになっているものは高めなので、出しすぎない
- 廃棄が極力でないように調整する。
- 素材料で購入することによって、残ったら次回にうまく利用する
調理員次第でこうした手作り、オーガニック率が高く、地元産のものを使った給食が提供できる。